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読書の秋。ということで、脱「積ん読」目指します

超絶に忙しく活躍されている人ほど、ものすごくたくさん本を読んでいらっしゃる印象があります。

一体どうやって時間を確保してるのだろう……いつも不思議です。

本屋さんや図書館が大好きだし、本はけっこう買うのですが、「積ん読」状態が続いてばかり…頑張って読書量をもっと増やそう、と思いつつ、あまり読めていませんが、最近出会った本の中で面白かった本をいくつか。

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本当の夜を探して-都市の明かりは私たちから何を奪ったのか

英語の原題は「The End of Night」。私たちは常に明るさを求めていて、暗闇というのは「怖い」ものと捉えがちですが、人工の光によってもたらされる「害」はあまり意識していない気がします。
人工光がない場所って、見つけるのは実はとても難しい。私が住んでいる場所はど田舎で、もちろん現代の感覚で言うとすごーく暗いのですが、家の前の道には街灯が煌々と立っていて、光が寝室に夜通し差し込んできます。この街灯、とっくに明るい朝の6時過ぎになっても点灯してました。「本当の暗闇」が人間にもたらしてくれるものとは何か、またエネルギーや環境教育の視点からも書かれていて、「光」「闇」「夜」のイメージが変わりました。中世ヨーロッパで人々(特に女性)が夜をどう過ごしていたかという話もとっても興味深かったです。

・江戸の想像力-18世紀のメディアと表徴

法政大学学長・田中優子さんの著書。江戸文化が好きなので、図書館で関連本を探していたときに手に取りました。著者独特の文体に「粋」な感じが漂っていて、別の世界にいるような不思議な気持ちで読みました。

わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か

平田オリザ著。私は英語教育に携わっているのですが、海外では演劇が語学教育の有効なツールとしてたくさん取り入れられていて、教育に関連した内容も書かれているので気になって読みました。英語やその他言語を学ぶとき、「他者」をより強く意識することができるのがとても好きです。日本語に比べて、外国語だと「伝わった!」という喜びはとても大きいのだけど、その前段にあるのはいつも「伝わらない」「分かり合えない」というもどかしさ。だからこそ、コミュニケーションが成立した時の感動がすごい。そんな「わかりあえないところから」始めよう、という本。

アラン「幸福論」

すみません、今更よみました…. 心と体がいかにつながっていて、お互いに作用するか、ということが色んな角度からたくさん書かれていたのがちょっと意外でした。心と体の関わりについても考えることが多いので、たまに開いていくつかの章を拾って読みなおしたりしています。

東京百景

「火花」を読んでから又吉ファンです… めっちゃ面白くて、彼の本をいくつか読みましたが、これは大好き。私は日本の芸人とかお笑いが全然好きじゃないのですが、この本は私にとっての「お笑い」。

そして、これから読む本。遅ればせながら注文しました。
JCEJでも一緒に活動しているローカル・ジャーナリスト田中輝美さんの最新著書。

ローカル鉄道という希望

画像がなくてすいやせん…こちらはAmazon先生から届いたら、さっそく読みたいと思います!

「風の人」になる

私が東京から長野県に移り住むにあたって、とても勇気をもらえた一冊の本を紹介したいと思います。

地域ではたらく『風の人』という新しい選択

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ローカルジャーナリストの田中輝美さんと、法政大学・藤代裕之研究室のゼミ生の方々が一緒に書き上げた作品です。

この本には、8人の「風の人」が登場します。島根県(人口が全国で二番目に少ない県!)にIUターンして、教育改革や医療、地域活性化など、さまざまなことにチャレンジしている人たち。彼らにスポットを当てて、東京などの都市部ではなく、「地域で働く」という選択肢について考えさせてくれる本です。

私も、昨年10月に約8年間お世話になった会社を退社して、東京を離れました。「会社辞めます」と言ったとき、周囲からは本当に色んな反応があったなぁ。もちろん応援してくれる人もいたけど、大半が「そんな田舎に行くなんてキャリアがもったいない」「絶対辞めるのやめたほうがいい」「(私の家の周りの写真を見て、風景があまりに田舎なので)・・・やばくね?w」などなど。

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まぁ、そこまで当てもないのに「フリーランスで頑張ります」と言っていたので心配されるのは当然なのかもしれないけど、なんかくやしかった。地方=そもそも土俵の外、というような。最近は地方創生や移住の話題とか色々盛り上がっているけれど、やっぱり東京→田舎という選択肢はまだまだ多くの人にとって「普通」ではないのかな、とも感じます。

この本に出てくる「風の人」に共通していることは、みんな葛藤や挫折を繰り返しながら、自ら地域での「仕事」や「働き方」を切り開いているということ。何もない、と文句をたれるのではなくて、「なければ作る」「成功するかしないかではなく、とにかくやってみる」という姿勢が、心を揺さぶりました。

登場する人たちが成し遂げていることもすごいんだけど、そこまでの過程が読んでいて一番面白い。例えばソニーを辞めて島根の離島にIターンして、教育改革に取り組んだ岩本悠さんの章は、「よそもの」として地方で働く中での葛藤や、「Iターンのくせに」と批判された経験も語られています。実は岩本さんには島根で記者をしていたときにインタビューさせてもらったことがあるのですが、その時私は聞けなかった本音もぽろっと出ていて読み応えがありました。

例えば家族の都合やのっぴきならない事情で、自分の意思とはあまり関係なく地方に移住することになった人だって、自分次第で「風の人」になれるんじゃないかな。「田舎に戻る」というより、「都会と田舎の両方に自分のフィールドが広がった」と思えば、それはすごく強みになる。私も昔は、閉鎖的な田舎から出たくてしょうがなかったけど、回り回って自分を育んでくれた地域にまた住むことになって、今はいいところと悪いところ、両方がよりクリアに見えるようになりました。昔は短所だと思っていた部分こそが、この地域の長所でもあり、魅力なんだという風に今は思います。それはやっぱり、一度外に出て、戻ってきたからこそ。新しい視点で、この地域との関係を再構築できたら面白いだろうな。

この本は、「風の人」=地域と都会をまたいで活動し、風を起こし、去っていく人、にフォーカスを当てていますが、「土の人」=その土地に根付いて生活している人たち、に向けてのメッセージでもあるそう。以下、私が印象に残った、冒頭の田中さんの言葉を引用します。

”これまで、新しく地域に来たよそものが「いつまでいるの?」と定住の覚悟を問いかけられる場面を見てきました。大切なのは、定住するかしないかではなく、その風を受け止めて生かすのか、よそものによる雑音として流すのか、地域の人たちの姿勢です。これからは、風の人に「来てくれてありがとう」と言える地域が生き残っていくのだと思います”

私は、同じ県内でも自分が生まれた町とは違う場所に移住したので、いわゆる「Jターン」になるらしいですが、やっぱり新しい土地に住んで、分からないことだらけ。「土の人」にたくさん助けてもらっています。

 

ちなみに、法政大学総長の田中優子さんが「風の人」について江戸時代の視点から書いている記事も合わせて読むと面白いです。

 

それにしても田舎にも、なんというか個性的な変人が本当にいっぱいいて、思った以上に楽しいですよ。